切るに切れず、又も長くなりました。

 

誠にあいすみませんが、三連休で手の空かれた折にでも、飽きない程度に適当な所で区切るなどなさって頂き、皆様それぞれに良い塩梅でご覧下さい。

 

来週の更新は火・金になります。

 

では記事へ。

 

《ふたりのロッテ 解編》

 

ご想像頂きたい。

もしあなたに訪れた何らかの切っ掛け、例えば長期の海外旅行や研修等で、慣れ親しんだ場所を一旦離れて過ごす必要が出来た。

そこで、あなたと全く同じ姿形をした人に出会う。

何の事情も分からないままで突然そうしたことが起きた時、出て来る反応は決して「やったぁ!」ではないだろう。

 


物語の中でのルイーゼとロッテもそうである。

原作では互いに驚いた後、ルイーゼは‟まるでライオンとトラに追いかけられてでもいるように”走って逃げ出す。

残されたロッテもすっかり面食らってしまう

二人が同時に体験したのは

揺らぎ

 


それまで「これが私」と信じて来た存在が、毎日鏡の前に現れていたその姿形が、「唯一無二のものではなかった」ことのショック。

それぞれ、自分と同じ形をしたその人物が、人生に「乗り込んで来た」と感じる。

物心ついて数年の女の子達にいきなりこんなことが起きれば、咄嗟に拒絶して逃げ出すのも無理はない気がする。

大人だって相当ショックだろう。

だが揺らぎを体験したことで、二人に大きな成長が起こる。

 


最初は拒絶し、癇癪を起こして、暴力(テーブルの下でスネを蹴る)まで振るったルイーゼが、母との約束が守れそうにないことや意地悪な女の子のせいで泣いていたロッテに対して、慈しみを見せる。

人生やりたい放題だった小さなお嬢さんが、他者を、それも自らにそっくりな他者気遣う行いをする。

ロッテの方でも、それまでの大人しく気丈な振る舞いが決壊して涙が流れることで、彼女が築き上げて来た自分像を抜け出した、素直な自らに出会えている。

こうして同時に変化を体験した二人は、距離を縮めて行く。

 

 

自分達が双子の姉妹だと分かったのは後からであり、その前は「そっくりな別の女の子」として、互いの存在を受け入れて仲良くなっている

親父とおふくろが人生上で大変重要だろう事実を言っとかなかった為に、こんな仰天体験をした双子は思いがけない成長を遂げた。

この成長があったからこそ、さて本当の姉妹だと分かってから、両親を驚かせるアイディアを思いつくことが出来たのだ。

それぞれに成り代わって父と母の元に帰る。

物凄く真剣に準備。


それは超重要事項を言っとかなかった親達に対する二人なりの「仕返し」であり、

双子にしか出来ないとっておきの「悪戯」であり、

そしてそれぞれが一緒に暮らしたことのない方の親に会いたいと言う「子としての切なる願い」でもあった。

こうして姿だけそっくりな別の存在を受け入れるどころか、その存在としての暮らしを積極的学び、又、実際に体験してみると言う、大変な企画が持ち上がった。

実行するエネルギーを出させたのは姉妹への愛、そして両親への愛である。

 

 

大事なことを秘密にされていたとしても、やはりどちらの子も、両方の親を愛している

入れ替わった後は、これまでの慣れた環境やペースで暮らせない。

決して嬉しいことばかりではない。

苦手だったものを食べたり、苦手だったことをやってみたり、時には苦手な人と出会わなくてはならない。

 


ルイーゼもロッテもその度に「新しい自ら」を知って行く。


楽天的で気ままで大胆だった子は、親を支えて家の細々としたことを丁寧にこなせるようになり、

大人しくて真面目な‟小さな主婦さん”だった子は、意地悪な強敵に立ち向かえるようになった。

物語の結末は、親達もそう言っている通り、娘達の尽力によるものである。

 


この物語の両親の様に、未熟さからの不寛容身勝手現実逃避(主に親父の)によって離婚したりはしていないが、分割意識御神体の夫婦間でのコミュニケーションの取れてなさも、ウィーンとミュンヘン以上に離れている場合が多々ある。

原作を読まれた又はこれから読まれる方は是非、不覚状態にある意識の寝とぼけ具合を結晶化した様なこの家の亭主を観察し、その変てこな態度から多くの分割意識が陥っている状態を腑に落として頂きたい。

しかしルートヴィヒ・パルフィーの様に、可愛い娘二人の頑張りに後押しされて…と言う筋立てを、分割意識が期待しても意味はない

全ては意識の変化にかかっている。

 


ルイーゼはルイーゼ自身の意識の変化が、行動の変化も招いた。

 

ロッテも同じ。

意識が下駄を放り投げて勝手に預けたことにして、他所に「HELP!」を言うことは出来ない。

男性性女性性を再び結び合わせるには「行動」を必ず伴って、これが私信じたイメージ、慣れ親しんだ領域を出ること。

 


まず「これが私」として来た部分以外の面受け入れ、その場に応じて発揮していく必要がある。

柄じゃない性に合わないとして避けて来たものこそ、「そんな面だってちゃんと内側には揃っているのだ」と認めると、器が大きくなる

そして大きくなった器満たすだけの力が湧いて来る。

ルイーゼとロッテの成長による家族再生の物語は、そのことを教えてくれるのだ。

 

封じたあなたを、知ってみよう。

(2019/10/31)


10月のふろく

《内なる双子メモ》

 

今月は、内側にてルイーゼとロッテの様な出会いが出来るメモをこしらえました。

 

内なる双子との対話と、そこから導き出される新しい体験をお楽しみ下さい。

 

 

使い方

 

1.まず「自分と見た目はそっくりで、中身は似ても似つかない双子」を内側にイメージする。

    元々双子である方も、内なる双子はそれぞれに在るので、内側に集中する。

 

2.彼又は彼女の特徴をいいなと感じる部分、逆によくないなと感じる部分を5つずつメモの上の欄に書く。

 

3.「なぜこれがいいな(又はよくないな)と感じたのだろう?」とその10項目を観察してみる。

 

4.内なる双子に感謝の気持ちを伝え、10項目の内どれでもいいので、その特徴を発揮した行動をしてみる。

 

5.実行してみて感じたこと、気づいたこと、分かったことをメモの下の欄に書く。