《ひとつの現れ》

 

「だんだんと日が長くなって来たなぁ」

 

日に日に、夕方の景色に明るさが増すのを感じる。

 

空気も常に流動しており、変わらぬものの何一つないことはしみじみと味わい深い

 

どこまでも面白い物理次元である。

 

不変不動の虚空による、変わり続ける表現であるこの世界は、動を命題とする。

 

 

自由に、鮮やかに、未練なく、瞬時に、悠々と、堂々と、晴れ晴れと。

 

物理次元に在ってどう動くか、それは意志によって様々。

 

不覚社会を眺めていると、動こうとする時に自ら障害物を設定している人が殆どであると気づく

 

あいつが、世間が、この性格が、俺の行く手を阻み足を引っ張って邪魔をする

 

そう考えて自他のあれやこれやを障害物扱いする場合もあるし、

 

 

越えるべき壁私を強くする

 

と、克服ドラマの補助役としてライバルや先達、目標としての障害物を積極的に設定する場合もある。

 

また越える気がなく「これはちょっとハードルが高いな」と、境界線代わりに障害物を使って行動圏の内外を分けるラインを引く場合もある。

 

障害物について「置かれてる!」でも「置いておこう!」でも共通しているのは、飛んだり跨いだり避けたり止まったりと、動きが複雑になる点。

 

何もなければそのまんまスタスタと真っ直ぐ進むだけとなる。

 

 

平坦なんてつまらない山あり谷ありが人生だよ」とするのも人間あるある

 

この山は高過ぎるこの谷は深過ぎると文句言いながら、重き荷を背負って行くのも人間あるある

 

四方八方ハードルに囲まれているせいで、何処にも行けないで苦しいとうずくまるのも人間あるある

 

どの障害物も、虚空からの現れを「意識が」「その様に」「見なしている」からこそ“設置”出来たもの。

 

そっちに遣り甲斐を見出す人々には、「それはそれで素敵な旅を!」と申し上げるだけだが、ハードルのない生き方気楽であると同時に、未知の面白さ満ちている

 

受けようとする試験も、

 

急な環境の変化も、

 

普段買わないものも、

 

突然舞い込んだ話も、

 

段々長くなる日の出る時間も、

 

 

どれもひとつの現れなのだと分かる時、足を上げて踏み越えるものでもないことも明らかである。

 

ひとつの現れは受取り方次第で、ひとつのヒントひとつの機会ともなる。

 

それらはどれも、この世界の面白さへの気づき楽しさ、そして味わいを豊かに含んでいる。

 

真っ直ぐ進み、観る景色。

(2024/2/1)