《道との遭遇》
変容に向け、それぞれに合った独自のアプローチで歩を進める方々が増えて来た。
皆様に向けて今、最もお伝えしておく必要があることとは、何だろうか。
そんなことが意識に浮かびながら、昼食をとる店を探していた時のこと。
御神体が不意に、首をある方に向け、その先に今まで存在すら気づかなかった店を発見した。
カフェの様だが、まあ入れば何か昼食的なものもあるだろう。
ドアを開け、通された席に座る。
壁に背を向けて座りながら、頭の斜め上になる辺りに、何かごにゃごにゃと書いてあるのが視界に入った。
カレーが有名な店らしく、アントニオ猪木からの賛辞が飾ってある。
他に、猪木の写真。
他の芸能人やスポーツ選手のサイン。
額に入った猪木の達筆な書。
あれっ。
猪木率、高くない?
メニューを見るのを忘れて店を見渡し、急にさっきの壁のごにゃごにゃを思い出した。
振り返ると、
思わず、写真に撮った。
道
この道を行けば
どうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし
踏み出せば
その一足が道となり
その一足が道となる
迷わず行けよ
行けば分かるさ
アントニオ猪木
言わずと知れた名台詞だが、改めて感じるのは字が上手いこと。
それでいて「上手いでしょ!」と言うアピールが匂って来ず、さりげない知性が滲み、そして品がある。
額に掲げられた書も、豪快な中に自然な均整が備わっており、達筆である。
プロレスラーと言う、肉体を酷使する“荒事”で一時代を築く一方で、こうした繊細な仕事も難なくこなす。
ビジネス、政治、あらゆる猪木仕事を並べて書き出せば、到底一人が成したとは思えない体験の質量になるだろう。
やはりこの端末は人知を超えた所で動いている。
迷ったら猪木に帰れ
とは、ひとつ言えることだ。
いかにグッドセンスな皆様と言えども、日常で不覚社会と関わって居れば、連動して揺れを感じたりもする。
不覚期にブレが生じたときの要石として、
どの年代のかはお好みで。
この存在を意識に招いて頂くと、急場の安定に役立つ。
真の道とは全くの未知である。
前もっての予測をつけずに、過去の誰かの轍を踏襲せずに、生き生きとした好奇心で、天意からの愛をもって踏み出せば、そこに道は開ける。
道に見守られながらカレーを食べるシステム。
こんな店があったとは。
ちなみにこの店、スモーカー達にとって憩いの場らしく、小さなテーブルの全てに灰皿がセットされ、吸ってないと逆に目立つ。
店内の空気は、煙、スパイス、煙、スパイス、煙の、不思議なマリアージュ。
そんな個性的な空気に一切染まらず、パリっとしたままの猪木の文字が眩しかった。
本物は環境に
影響されない。
何の気なしに入った場所で、多くの重要な気づきを得た。
微細な感覚に委ねてみると、こんな面白い遭遇が起きるのである。
未知こそ本道。
(2017/5/18)