《湧き出る水の》
「そう言えばあれは何?」
と、先日浮かんできて調べたのが
リンパ
と言う名称。
健康であるとか美容であるとか、人間にとって何かしら目的となるものに一切関係なく、只単純に
「あれは一体何だ?」
と言う、問いである。
リンパは英語でlymph、フランス語ではlympheと書き、ラテン語表記ではlymphaとなる。
lymphaは「泉から湧き出した澄んだ水」を意味し、その語源はギリシャ神話のnymphなのだと言う。
ニンフとは、山や川、森や谷などに宿る精霊で、要は水のある場所に居るらしい。
それぞれに宿る場所を護る存在として、下級の女神と言う役割が与えられ、見た目的には歌と踊りを好む若くて美しい女性の姿をしているそうだ。
これは人間が水の流れる場所などで感じた
「目に見えずともそこにある、絶えず流れる透明で新鮮な美しいもの」
を具現化しようとした時に、
「途切れぬ美しい動きをするもの」
を想定して、そこから歌い踊る若く美しい女性の姿に、イメージの変換が起きたのではないだろうか。
「ニンフがリンパに…何だかボーズがビョーブにみたいだ」
と首を傾げつつ、何だって頭文字がNからLになったのか調べてみたが、
「語源が透明な精霊の名であるのは、リンパ液がほぼ透明だからであろうと考えられている」
と、言うことしか分からなかった。
しかし透明だとすると、若くてキレイでと条件を並べていることについて「見えるの?見えないの?」となり、ちょっとややこしい気もする。
内側に矛盾を沢山抱えた人間達が語り継いできたので、神話も矛盾を沢山抱えている。
「リンパって面白い言葉だな、それにしても泉から湧き出した澄んだ水か」
と、以前申し上げたことのあるマイムマイムや、ヘレン・ケラーについての情報が浮かんだ。
全身を巡る、澄んだ水。
それは泉から湧き出して、何処に戻るのか。
申し上げるまでもなく、全ていのちは虚空より生じて虚空に帰すものではあるが、「湧き出す」だけでは、「巡る」動きの全容を説明することは出来ない。
大祓の中にある、「さくなだりに落ちたぎつ…」から、「… もちさすらひ 失しなひてむ」のプロセスは、リンパ的にはどうなっているのだろうか。
「浄化しますよ!」
「いいもんですよ!」
のアピールだけでは、分かり切れない謎がそこに眠っているようにも感じるのだ。
湧き出る水の、行く先は?
(2025/5/22)