《個と朽廃》
リンパって何だろうと言うシンプルな問いが浮かび、語源から始めて更に調べて行った後、
リンパそのものは一方通行
そして
脇の下や脚の付け根など各所に何百とあるリンパ節に合流
更に
太い深部リンパ管を通って、鎖骨の下で静脈に流れ込む
と分かった。
つまりはここがサクナダリかと、鎖骨に触ってみた。
血液中に入った後は、リンパはリンパではなく、まとめて血液と呼ばれる訳で、その名を
もちさすらひ 失しなひてむ
となる。
リンパがその流れる道中で各所から回収し、血液中に持ち込んだ、人が老廃物と呼ぶもの。
これを血液が運んだ先の腎臓でろ過して、便や尿、汗等のかたちで体の外に排出するそうだ。
「面白い仕組みだなぁ」
と、感心した。
リンパと血液。
透明から白まで濃さに違いがあるものと、赤くて空気に触れると黒くなるもの。
見た目と呼び名が変わるから、循環する中にある「一部の動きだけ」を取り出すことが可能になる。
出て来て真っ直ぐ進むだけであるから、湧き出る水と表現されていたのなら納得である。
それにしても「老廃物」と言うのも又、凄い表現じゃないだろうか。
老廃物とは何か調べると、解説に
体内の物質代謝によって生じる代謝産物、あるいは飲食物が利用されたあと、体内に不要となった物。
と、あった。
人体の活動に使った後、いらなくなったもの。
送り出された先には、人体の活動とは関係なく、それを使う動きだってあるだろう。
老廃とは、老朽と似た扱いで、
年をとったり古くなったりして役に立たなくなること
を意味するらしい。
「これは朽ちた状態」
「これは廃棄」
と判断する時、そこにあるのは常に「個から己を見る、そして個に起きることに限定する視点」だと気づいた。
個に限らぬ全てを途切れぬ全体一つの流れとして観る時、そこにあるのは
形状を変化させての受け取りと送り出し
これだけなのだ。
巡り変わる、楽しい世界。
(2025/5/26)