《速度と無》
シンプルと汎用性を志向する流れが生まれた背景には、先行不安定な経済に対する心配以外の理由もある。
先行き不安定と言っても、経済が安定していると見なすのも結局は「そんな気がする」と感じているだけである。
常に変化する経済そのものが、「固定」されることはない。
固まることがないものに対して、特に「やばそうだ」と不安が増幅するのは、不安材料を示す情報が、集めようとすれば幾らでも集まるから。
不安材料だけでなく、お役立ち情報、お得情報、好みの趣味娯楽に関する情報、大して興味がないが出されれば気になってしまう情報etc。
テレビ、ラジオ、パソコン、タブレット、スマートフォン。
何かしらの「栓」を捻れば、情報は溢れ出して来る。
街に出て歩いているだけでも、何かしらの広告は目に入って来る。
不覚社会に暮らす人の大多数は起きてから寝るまでの間に、相当量の情報を受け取っている。
シンプルなものに安らぎを感じるのは、処理しきれない情報がずっとダブついていることへの疲労も関係している。
「ない」ことの心地よさを人間が実感する為に、情報の洪水は発生したのかも知れない。
通常、不覚の人々は「ない」ことを避け、感謝はしないからだ。
シンプルさと共に志向され始めた汎用性は、柔軟性に通じる。
どの季節でも、男女どちらでも。
これは柔軟な活躍の仕方である。
前回は取り上げなかった、どんな年齢でも関係なくと言う「エイジレス」も又、柔軟性を育てるレスと言える。
先日目にしたニュースには、通気性に富む柔らかな生地とゆったりとしたシルエットで世代を問わず着こなせる、エイジレスな商品開発に取り組む会社もあると紹介されていた。
あえて太さが均一ではない糸を使って、はき込んだような特有の風合いを出したデニムパンツは、若い世代が着ればビンテージ風に、大人世代だとナチュラルで軽やかな装いになると言う。
日本製の服は長持ちし、シンプルなデザインは流行に左右され難いので、親子で購入する人も居るそうで、ここにも選択肢を増やす動きが生まれている。
流行に応じて入れ替えの速いファストファッションとは一線を画し、定番で長く使えるものを目指すと言う会社の方針を知った。
速さで快感を得る流れに飽きたので、角度を変えて気晴らしをするのだろうか。
それとも、行き着くところまで行った速度は、無に帰着するのだろうか。
この流れがどうなるのか、面白く観察している。
高まる、無の需要。
(2026/5/28)
5月のふろく《無観察メモ》
観察がないのではなく、無を観察するメモを拵えました。
様々な色が移り変わる背景の中央に浮かんでいる、“無”の丸の中を覗き、ご自身が物理次元で出会ったものの中で「そう言えば、あれは“無”の現れと言えるかも知れない」と気づいたものがあればお書き下さい。
発見した“無”を改めて中立に観察し、
その無が社会の中で果たしている役割を左上の丸に、
時代の中で必要とされている理由について気づいたことを右上の丸に、
それが御神体の健やかな進化に果たす役割を左下の丸に、
それぞれお書き頂ける様になっています。
3つの丸と、それらの元になった無に静かに感謝を送り、浮かんで来たことを右下の丸にまとめます。
こうして無を観察する体験を消化し、昇華して頂きますと、常に虚空と共に在る全体一つの流れに合った働きを、分割意識も御神体も行い易くなります。
