《上を下への》
気温の上昇によって人々の生活にも変化が現れているこの季節。
日中に地下道へ降りてみると、人の多さを実感する。
陽射しの来ない地下は、かつては薄暗く風通しの悪い場所として、大して人気がなかった。
人気がないから落ち着けたのか、そのせいで人気が無くなったのか、卵が先かニワトリかみたいな話になるが、規制によって追われるまでは家のない人が仮ぐらしをする姿も多く見かけた。
これは現在もだが、繁華街が近いと階段や柱の隅から酔客が勝手に用を足したアンモニア臭がすることもある。
清潔さに快適を感じる世の大多数が避けたくなるような、濁った気が籠る場所でもあった地下道。
今はそんなことも言ってられない気温の為、涼を求めて人々が雪崩れ込み、人目があるせいか結果として以前よりも綺麗になった様に感じる。
場所によってはLEDを使った照明で華やかになり、店の数も多い。
随分様変わりしたものだと、活気のある地下世界を眺めていて「あっ、そうか!」となった。
上昇志向に傾き、下降は失敗や敗退とも見なしがちな人類目線。
晴れ舞台で輝いて日の目を見る栄光を求め、光を避けるなんてあり得なかった人類目線。
長年かけて作った認識の歪みが、地下に向かう動きによってちょっと面白い混ざり方を始めている。
地下に道を作り、利権を手にした者が勝ち組などと言った、「上なの下なの?」みたいな動きが盛んになれば益々それは加速するだろう。
人が思考や意思の力で何とかしようとしなくても、自然に混合は始まっている。
そして人の力では止めようがない。
ご承知の通り、混合と和合はイコールではない。
しかし、混合と言う変化の中から和合の必要に気づく者は出始める。
上を目指さず下を目指す、地下への動きが盛り上がって行くこと。
その動きをしながら「あれ?」と意識に変化が起こる人々が出始めること。
どちらも、興味深く観察している。
上を下への大騒ぎもかつてない変化であれば、勿論それは虚空にとって素晴らしく面白いことなのだ。
面白を楽しむ基本は?
(2025/8/7)